第27話「大久保ライブチャットF」ライブチャット嬢の報酬は、こんな感じ。
世間からの風当たりに日々摩耗されている殿方の皆さま、こんにちは。
朝から晩まで健やかに労働されている皆さまにならお分かりいただけるかと思いますが、名刺ってとても大切ですよね。
セクキャバ嬢にとっても名刺は大切なんです。
名刺をお渡しすることがマナーの一環と捉えるお客様もいらっしゃいますし、なにより嬢として営業するにあたっては、必要不可欠なアイテムですよね。そのため嬢たちは名刺のデザインにも、ややこだわります。
ほかの嬢と差別化できるようなデザインや、文字が読みやすいデザイン、また自分のキャラクターをその1枚で表現できるようなデザインを選ばなくてはいけません。当時のわたしの源氏名は和風な雰囲気を持ったものでしたので、名刺デザインから名前を連想しやすくするため、なるべく和柄を選んでいました。
名刺代は自腹でした。
歌舞伎町セクキャバG店では、名刺代は自腹で支払うことになっていました。こういう時こそ日々雑費として引かれているお金を使ってくれよーと腑に落ちないところもございましたが、とにかく自腹でした。「仕事上で絶対必要な備品とはいえ、かかるコストは抑えたい…」という部分でも、デザイン選びには毎度頭を悩ませたものです。
名刺のお値段ですが、100枚でおよそ3,000円前後。消費する枚数は、1回の出勤につきおよそ7枚から8枚程度。この計算ですと、2週間もたてば名刺が切れます。計算上では、名刺にかかるコストは1ヶ月でおよそ6,000円となりますね。
名刺カタログは、重たい。
余談ではございますが、たいていのナイトワーク店には名刺デザインカタログなる大判ファイルが置いてあります。その厚み、5センチから10センチほどでしょうか。歌舞伎町G店にはそのサイズのファイルが3つほどございました。
その膨大な情報がファイリングされているカタログの中から、自分のキャラクターに合う好みのデザインを見つけ出します。デザインが決まったら、発注用紙にデザイン番号と、源氏名や連絡先など必要事項を書き込み、黒服さんに発注してもらうという流れをとります。
正直なところ、いちいち重いものを持つのは億劫ですし、いちいち発注することに手間を感じていました。
こんなにお金を手間をかけているにも関わらず、歌舞伎町の道端に棄てられている名刺の、なんと多いことか。わたしは、その名刺たちが不憫でなりません。本来の用途を全うせず、意味をひとつも持たされることなく、道端に棄てられる名刺たち。可哀想でなりませぬ。よよよ。
何をお伝えしたいのかと申しますと。
道端に置き去りにされた名刺は、言わずもがな殿方が道端にポイ捨てしているもの。自宅に持って帰れば奥様やご家族に見つかる恐れがある、財布にしのばせておくほどのものでもない。またお店のテーブルに置いて帰るのも、嬢の手前、気が引ける。となれば、道端にポイッと捨ててしまうというのも、まあ分からなくもありません。
だけど、だけれども。ここでお願いしておきたいことがひとつございます。要らない名刺は嬢の目を盗んで、こっそり黒服さんに返していただけますと、非常に助かるのです。
何故かと申しますと、ですね。お店に預けてもらえることによって嬢はその名刺をリサイクルをすることができ、名刺にかかるコストを抑えられるのです!
もとは歌舞伎町G店の黒服さんが、テーブルに残された名刺を回収し嬢に返却していたのを見て、わたしは「なるほど!」と思ったのです。地味でケチっぽい方法と思われるかも知れません。でも実はこれって、誰も傷つくことのない、名案ではないでしょうか?
次回の歌舞伎町夜遊びでは、ぜひぜひ実践してみてくださいね♡
文|カサイユウ(ライター・元風俗嬢)
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