ソープ嬢で結婚してる子は多くは無いけど存在する。
でもほとんどの子は秘密で働いてる。オープンな子は少数派だ。
私はその少数派。現役時代に二度結婚している。
両方とも紆余曲折あったけど、旦那の許可を得て働いていた。
自分では当たり前の日常だけど、よくよく考えたら奇妙な事が多い。
今日はその奇妙な生活について話そうと思う。
同業の夫との生活
一人目の夫は風俗業界の人。
同じお店に在籍したことは無いけど、同じ街で働いてたので知り合った。
彼も私もデリヘルで働いている時に結婚をした。
それに関して反対されたり、引退を促されたことはない。
当時学費を貯めていた事もあって働くことに関しては何も言われなかったけど、私が21歳の時に雲行きが変わる。
私がソープに行くことを決めたからだ。なぜかデリヘルは良くてソープはダメらしい(笑)共通の知り合いまで「ソープは辞めときなよ!」と大反対。いい迷惑だ。
不思議なんだけど、ヘルス界隈の人たちはソープは…って感じの否定的な人が多い気がする。本番のある無しでそんなに否定的な反応するのは全く理解できない。
話を元に戻すと、決めたら夫の言うことに従うような女じゃない。完全に無視して働くお店を決めてきた。そこからしばらくは会話も無いような日々を数ヶ月過ごしたんだけど、やっぱりお金は人を変えた。
吉原に行ってしばらくすると、ありがたいことにランカーになれた。してる苦労も拘束時間もほぼ同じで、給料は数倍。しかもそれなりに服装指導とかもあったから私自身もかなり変わった。
私はたまーにしか銀行に行かないから、タンスの預金がどんどん増えていくに連れて旦那が話しかけるようになってきて、最終的にはソープで働くようになる前と関係は変わらなくなった。
ただ、同業の女の子たちと食事に行ったり買い物に行くときに送り迎えをするようになったり、男友達がいる飲み会の日に急に具合悪いって言い出して、看病を頼まれて約束を断ることが増えた。
つまり行動を監視されてたわけだ。私はお金を使うのが嫌いだから、いい車を買ったり、贅沢な食事をさせる事はなかったけど、大きな収入源を他に行かせるのは惜しかったのかもしれない。
風俗で働く嫁を持つ旦那あるある「ヒモ」気質を持ってる人なのが、自分がしっかり稼げるようになってやっとわかったわけだ。
普通のアパートに住んで、毎日御飯作って洗濯して、一緒にご飯を食べてテレビを見る普通の夫婦だったと思う。ご近所さんはまさか風俗夫婦とは思ってなかったと思う。
でも、車の調子が悪くなって「トヨタの某高級車が欲しい、買ってくれないかな?」って言われて私は家を出た。ヒモのために自分が体張って稼いだお金をくれてやる気はない。
かーなり揉めた(主に財産分与で)けど、泥沼の離婚協議は終わって私は晴れて独身に戻った。相当財産持っていかれたから、大人しく車買ったほうが安上がりだったかも…と思うけど、お金は帰ってこないから計算はしないことにしてる。(笑)
一般人の夫との生活
今の夫は普通の会社に勤める会社員。風俗業界で働いてたこともない。私が現役のソープ嬢の時に友達になった大人しい男性だ。
離婚で生活をリセットしたかった私は地方都市に引っ越して、お店も辞めてしまった。その街には数件のソープがあって、気分を新たに大衆店で働くことにした。
ただ、友達と離れてしまったので遊びに行ったりなかなかできなくて、仕事終わりにバーに遊びに行くようになった。ありがたいことに仕事を聞かれない事が多いし、カウンターで適当に世間話できるから楽しかった。
そこで夫と出会った訳なんだけど、夫は最初からOLだと思ってたらしい(笑)そんな訳あるか!もちろん永遠に仕事を隠してるつもりは無いから、普通にカミングアウト。
「辞める目処はあるの?」「何で働いてるの?」とかありきたりな事は聞かれたけど、特に咎められたりはしないまま結婚することになった。
結婚してからは私の方が勤務時間も長くて、帰ってからも顧客情報のデータ入力したり、連絡が来たら対応したりしていたので、彼が家事をやってくれていた。働いている間は家事をした記憶があんまりない(笑)
あとは働いてるお店がある辺には一緒に出かけられない。用事がある時は必ず別々だし、どうしても行かなきゃ行けない時はかつらとか被って完全体の変装して行ってた。
もう一つ困ったのは夫の同僚関係。彼の職場は飲み会の後で、何人かで連れ立ってソープに遊びに行く人が居たらしい。「今日どこに行く?」なんて話を聞くと旦那は「もし接客することになったら嫁がソープ嬢だってバレる」って毎回冷や汗をかいてたらしい。
そもそも、夫の職場は年に数回家族も招いての食事会があって、同僚の方々にご挨拶をさせて頂く機会がある。もーこれが大変で、ぶっちゃけ知ってるお客様が混じってる。しかも隣には素敵な奥様と娘つき(笑)
私の引きつり気味な笑顔を見て、旦那も「この人って…」って気がついたけど、そこはあえて何も言わないで目を反らせるくらいできないと、ソープ嬢の旦那は務まらないから感謝しか無い。
ソープで働いてると、パートナーにかける苦労が大きい。現役時代には私に言ってないような苦労も我慢も多かったと思う。仕事だとは理解していても、自分の嫁がソープ嬢やってていい気分はしないだろうから。
ここに書いたのはほんの一部で、もっと奇妙な事もあったと思う。私はほぼ10年の風俗業でお金を得た代わりに、奇妙さを感じる感覚、普通の感覚が無くなった。
今では現役だった当時の事は旦那の中で笑い話になっていて、こども達が寝たあとに「あの頃同僚がまいちゃんのお店に通いまくってて、入った女の子の話をするのがマジで拷問だった(笑)」とか話してる。
ただ、時々気が緩むのか私を「堀内さーん!」と呼ぶのはやめていただきたい。堀内は私が彼と知り合った頃に使っていた源氏名で、旧姓じゃない。こどもに「結婚する前は堀内さんだったの?」とか聞かれても、誤魔化す術が無いんだから。