「こんな爺さんでおどろいたかい」
最近知り合いのデリヘルを助っ人でお手伝いをしている。
『あやちゃんは自走だから便利』
というなんとも単純かつ合理的な理由で駆り出されている。
自走(自分の車で指定されたホテルに出向くこと)でいった先のホテルで出迎えてくれたお客さんと対峙したとき、ほんとうにおどろいた。ほとんど絶叫したといっても過言ではない。な、なんと。幽霊だったのだ……! は嘘で(白目)酸素ボンベをカートに入れて鼻から吸っているお客さんだったのだ。
「えええ! だ、大丈夫ですか! そのボンベ」
入院先の病院から抜け出してきたような出立ちだったし、もちろんボンベのこともあいまって訊いてみる。とゆうか訊かないわけにはならない。
「ああ、これか」
じいじは鷹揚な口調でボンベを指さす。そしてづつけた。
「大丈夫だよ。ただ肺に癌があって呼吸がしづらいだけだから」
ガン! 呼吸がしづらいとは? わたしはもうおどろきを隠せない。
じいじがまた先に口を開く。鼻についている呼吸器を退けて。
「もし、最中になにかあったらここに電話をしてね」
「……」
ここに電話してね。といわれてその先をみてみると携帯電話(ガラケ)の裏に書かれている自宅であろう電話番号だった。
「いやぁ〜。それは困りますって。もしもなにかあった場合、わたしが第一発見者になるわけじゃないですかぁ? 警察も来ますしぃ……」
困惑したので真顔でこたえる。もしも『なにか』あったらほんとうに困ってしまう。
「ほっほっほっ」
じいじが突然笑う。亀仙人のような笑いだった。
「うっそ〜」
おどけながらかわいい仕草でわたしの顔を見入った。不安そうな顔をしていたのだろう。じいじが、悪い冗談だよ。ごめん。と律儀にあやまった。
「とゆうか、もう精子は出ないんじゃよ。ただこうなんというかコロナのワクチンも打ったしそろそろ女体に触りたくなっただけ」
「あーあー。なるほどぅ」
納得をした。ワクチン打ったんだぁと。
「じいじはいくつなの?」
「あ? わし? わしか? 83歳」
まじですかぁ? またおどろく。が、まあそれくらいだなとはおもった。
そんな年齢のお客さんはいままでのデリヘル人生で初だった。
寝そべってといわれベッドに横になる。じいじはとにかくわたしのそこいらを舐めまくった。そしてたくさんまんこをみて微笑み、いいなぁ女のまんこはといいいいなぁ女の肌はといい恍惚だった。
途中で(このまま興奮して死なないかしら)という疑念もあったけれど、舐めては休憩をし寝そべってわたしの胸に顔をうずめたりしあっというまに2時間が経っていた。
「婆さんが心配するからもう帰るかな」
「ええ。帰りましょう。お車?」
軽トラに乗ってわりと遠くからきたという。婆さんには内緒で。婆さんはおいくつですか? と問うと、80歳といい、いつも寝しなに無修正でみているAVがあり寝てしまうので婆さんがその無修正ビデオを切りに来るんだよと話す。
「へー。愛ですねぇ〜」
じいじはこんなに老体にも関わらず性欲だけはありそれが生きる力になっているとしかおもえなく、デリヘルがあってよかったねと心の中でじいじに問いかけた。
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また!老人?ワクチンを打ったからねのお客さん
「こんなに爺さんで悪いね」
またこの台詞をいわれる。目の前にいるお客さんも明らかに老人然としていた。
「ワクチンを打ってるから大丈夫だよ」
おいおい一体どうなにが大丈夫なのかということはさておき
「そうですね。お元気ですね〜。お客さんおいくつですぅ?」
老人ホームの養護員にでもなった気分だった。いくつですかぁ〜とさらに促す。
「あ? わし? わし、75歳。あ、76歳だ」
おいおい75も76ももうそこまでいくと同じじゃね? とはいわない。
「まあ、お元気ですね。お盛ん〜」
ふふふとわたしは笑う。
「もっとさ、婆さんくらいの女を呼んだつもりだったけれど、お前さもうわしの孫くらいじゃねーのか?」
「ええ! 孫っていうのは大袈裟ですって」
お客さんは前歯がなかった。ちなみにお孫さんではなくお客さんの息子さんよりもわたしの方が5つくらい若かった。
「でないかも(精子)しれないな。コロナだったから息子の嫁がうちから出してくれなかったから。けれどワクチン打ったからもう出れるようになったんだよね」
あー。またワクチンかとおもった。
最近『ワクチンを打ったよ』という老人が暇と金をもて余しているのが如実にわかる。出向けば老人。出向けば老人。そして『こんな爺さんで悪いね』というなぞの台詞。
「寝そべって」
またか。わたしはベッドの上に寝そべる。そしてじいじの拙い愛撫を受ける。こうなんというかこの時代のお客さんって愛撫がひどく下手。お手本がなかったからなのか女を喜ばさないといけないという思考など皆目ない。
皆一様に痛くする。けれど、痛い! とは真っ向からはいえないので『電マして』とか電マがあればそう導くし『ローションごっこしよっか』ローションがあればお風呂場にいきローションで遊ぶ。
「電マして」
じいじに頼む。
「電マ好きか?」
「大好きです」
じいじだって愛撫が下手なんだもん。
「そうか」
「はい」
わたしは自分で電マをあてがい、じいじには「乳首を舐めて」と懇願をする。
じいじが、わたしの乳首を舐めている。電マの刺激とじいじにおかされてるぅ的な感覚になりあっというまにイッた。し、愛液がだーだーだった。
「すごく濡れるね。いいね」
「あ、は、はい。わたし、濡れやすくて」
じいしはひどく満足そうだったし、なんとなく勃起をした。わたしはどうでもいいひととならたくさん愛液が流れる。変態なのかもしれない。
あっというまに時間がきてしまい
「婆さんが心配するから帰るか」
「あ、はい」
婆さんがうちで待っているといい夕飯の買い出しを頼まれていると話す。
「お気をつけて」
わたしはその丸まった背中に声をかける。じいしもまた手を何度も振った。
コロナワクチン接種のおかげで老人のお客さんが戻ってきたらしい
ここ最近、コロナワクチン接種が2度済んだお客さん(65歳以上)が増え巣篭もりだったお爺さんがデリヘルに戻ってきたようだ。若いお客さんにはあったことがここ最近ない。
「性欲はあるけれど体力と持続力がない」
老人のお客さんの悩みはそれだ。確かに暇とお金には余裕があるけれど、それよりも勃起力もなくなればもちろん体力もなくなりそれに伴って気力だってなくなる。けれど、女をよぶ。
なぜ? 使い物にならないのに? どうして? そんな疑問が頭をもたげるけれどこたえなんて至ってシンプルで
『いつまでも男でいたい。いつまでも俺は若い。いつまでたっても現役だ』
ということだろう。
男は子どもを産むわけでもなく生理も重たい更年期もない。
なのでいつまでたっても心だけは二十歳くらいで止まっているのだ。
老いから目を背けるのは女だけで男は老いをあまり意識していない。勃起をしなくなったあるいは射精ができなくなったということで老いを実感し気がつくのだ。
けれどもわたしはいう。
「女を呼んで触るだけでも喋るだけでも男は若々しくいられるんですよ。もっと元気なうちにたくさん遊んでくださいね」
と。
死んでからでは遊べない。だから死ぬ気で遊んでほしいとおもう。フーゾクはなにも精子だけを吐き出す場所ではない。男としての自覚を得るところでもあるのだ。
ワクチンを接種したからね。
はい。その言葉。女の子だって安心します。もっとたくさん遊んでくださいね。
元気なじいじたちへ。
綾より